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放射線の基礎講座~第2回~
前回は、『放射線』とは何かについて解説をしました!
第2回目は『身の回りにある放射線』について解説をしていきます👀✨
その1:身の回りにも放射線があるというのは本当ですか?
自然放射線と言われていますが、太陽や宇宙からだけでなく、地面や建物、空気や食物、そして私たち自身の体内からも放射線が出ています。世界的に平均すると、私達は何もしなくても1 年間に2.4 ミリシーベルト(mSv)被ばくしています(胸部のX線撮影による被ばくは0.05 mSv 程度)。
自然放射線の量は、天候や場所によって変わってきます。サーベイメータという放射線量を測る機械を使って様々な場所で測定した結果が”表1”です。鳥取県の三朝温泉では、はっきりと高い値を測定しました。グランドよりも屋上の値が小さくなったのは、高い建物は地面からの放射線の影響を受けにくくなるためだと考えられます。
サーベイメータの検出部を鉛で完全に覆ってしてしまうとゼロになりました。これは、自然放射線が完全に遮断されたためです。
ご家庭では、一般的に浴室が放射能の濃度が高くなる傾向があります。これは、水の中からラドンという気体の放射性同位元素が出てくるためです。また、締め切った部屋は、開放された部屋よりも濃度が高い傾向にあります。
雨が降ると自然放射線量は上がります。これは、ラドンは空気中を浮遊しながら別の放射性同位元素に変わりますが、その時に空気中を漂うゴミに付着し、それが雨と共に落ちてくるからです。
食べ物にも放射線を出す物質が含まれています。”図3”のbの画像は、左側のイメジングプレートというレントゲンを撮る板にフキを張り付けてしばらく放置して出来た画像です。フキの中にある放射線を出す物質によってこの様な画像が作られました。フキが例外なのではなく、ホウレンソウでも、枝豆でも、全ての食物からこのような画像を作ることができます。その結果、私達の体内には、放射性同位元素であるカリウム-40(40K)がおよそ4000 ベクレル、炭素-14(14C)がおよそ2600 ベクレルも含まれています。私達は放射性同位元素から自分だけ離れて暮らすことはできないのです。
その2:自然放射線に対して、人工的放射線があるのですか?
放射線は原子を電離する能力を持つ「早く飛んでいる小さな粒子や、波長の短い見えない光(電磁波)」だと言いましたが、人工的にも作り出すことができる放射線発生装置(加速器)とよばれる装置があります。放射線治療に使われるものは小型の装置ですが、兵庫県の播磨にあるSpring-8 などの大きな施設になると、上空からでないと全体像を見ることができません。加速器では電子、陽子、イオンを加速させて、電子線、陽子線、重粒子線という放射線を作り出します。これらは「早く飛んでいる小さな粒」となります。X線管という真空管の中で、高圧を印加して電子を加速させ、これをタングステンなどのターゲットにぶつけると、X線という「波長の短い見えない光」が出てきます。X線はレントゲンとも言われ、レントゲン写真を撮るのに使われます。
今回は、『身の回りにもある放射線』について解説をしました👏✨
自分の身の回りにこんなに放射線があるなんて驚きました…!😮
次回は、医療現場で使われている放射線について解説をします
長野病院
放射線科より