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脳ドックで何がわかるの? ~MRI検査の役割について~

MRIではこんな検査ができるんです!!

 

脳ドックの目的

脳ドックの最大の目的は何と言っても「脳卒中の予防」です。

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破裂する事で引き起こされる病気の総称で、脳の血管が詰まる事で起きるのが「脳梗塞」、一時的に脳の血管が詰まる事で起きるのが「一過性脳虚血発作」、脳内の血管が破れる事で起きるのが「脳出血」、脳動脈瘤が破れる事で起きるのが「クモ膜下出血」の4つに分類することができます。これらは、命が助からない場合もあれば、麻痺やしびれ、発語や

四肢の障害などの後遺症を残す場合、無症状のままなど重症度は様々です。

脳ドックではこういった脳卒中が発生しやすい人を見つけ出し、適切な対策(専

門医への受診)を立てていくのが大きな目的です。

 

頭部MRI検査でわかること

脳ドックの中心的な検査となるのが、頭部MRI検査です。

ここで、よく見られる病変をご紹介いたします。

 

大脳白質病変(図1)

大脳白質とは大脳内側の大部分を占め、多くの神経線維が走行する領域を言います。大脳白質病変は加齢や生活習慣に関連する脳小血管病の代表的変化です。軽度な変化であれば病的意義は無いと言われていますが、高度なものであれば脳卒中や認知症の危険因子とされています。

図1 左:正常例。右:大脳白質に斑状・癒合状の白い構造が広く見られ(矢印)、大脳白質病変の所見です。

 

無症候性脳梗塞

無症候性脳梗塞とは、MRI検査では脳梗塞の所見が見られるものの、本人は症状を自覚していない脳梗塞のことです。脳卒中や認知症の危険因子とされています。

脳微小出血

脳微小出血は脳卒中の中でも特に脳出血を発症するリスクが高いとされており、高齢者や高血圧の方に多く見られます。

脳動脈瘤・脳動脈狭窄

頭部MRI検査の中には脳動脈だけを映し出すMRAという検査があり、血管を360°の方向から観察することができます。血管が瘤状に膨らんだ部分を動脈瘤といい(図2)、細くなっている部分を狭窄といいます(図3)。動脈瘤は破裂することで出血をきたし、狭窄は血管が詰まることで脳梗塞を生じることがあります。

 

図2 矢印の瘤状の膨らみが脳動脈瘤の所見です

 

図3 左側の矢印の連続性が途絶えており、右側の矢印では一部で細くなっています。脳動脈狭窄の所見です。

 

脳腫瘍

無症状で偶然に見つかる脳腫瘍はほとんどが良性腫瘍と言われています。

 

もしも病気が見つかったら

大脳白質病変や無症候性脳梗塞、脳微小出血などは、脳卒中や認知機能低下の危険因子となります。これらの所見があった方は、将来脳卒中を起こす可能性が高くなりますので、積極的な予防(専門医への受診)の必要があると言えます。

 

どんな人が脳ドックを受診すべき?

以下の項目に当てはまる方は脳卒中のリスクが高いため、積極的な受診をお勧めします。

  • 40歳以上
  • 家族や血縁者に脳卒中になった人がいる
  • 高血圧、高血糖(糖尿病)、脂質異常症などの生活習慣病を指摘されている
  • 喫煙者
  • お酒をよく飲む
  • 肥満傾向

ただし、今現在、頭痛やめまい、手足のしびれ、物忘れなどの自覚症状がある方

は脳ドックではなく、通常の外来診療でお早めに受診されることをお勧めします。

 

条件によってはMRIを受けられない方がいます。

体内に金属のある方、妊娠の可能性のある方、閉所恐怖症の方、刺青のある方などはMRIの検査が受けられない場合があります。詳しくは当院の健診センターもしくは放射線部にお尋ねください。

 

最後に

医療の進歩によって脳卒中による死亡は激減してきましたが、今なお医療介護費用のトップは脳卒中です。命は助かっても後遺症が残れば、日々の生活に不自由を感じながら過ごすことになってしまいます。

脳卒中を予防するにも日々の取り組みには数多くの事が必要で、これらを完璧にこなすことは正直難しいものがあります。

一度脳ドックを受診し、脳卒中の予防に役立ててみてはいかがでしょうか?