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放射線の基礎講座~第3回~
前回は、『身の回りにある放射線』について解説をしました!
第3回目は『医療現場で使われる放射線』について解説をしていきます👀✨
その1:放射線はどんなことに利用されているの?
放射線は様々な分野で活躍していて、特に医療には欠かすことができません。レントゲン撮影やCT 検査、ガンマ線を使ったRI 検査によって、怪我の程度の診断や、病気が発見されます。今ではX 線やCT のない医療というのは考えられなくなりました。最近よく聞くPET 検査も盛んに行われるようになりました。放射線発生装置を用いて盛んに放射線治療が行われています。放射線で使った検査です。
その他、農作物に利用されています。たとえば、ジャガイモには人の致死量の10 倍もの放射線があてられています。これは、ジャガイモの芽には毒があり、その発芽を抑えるためです。一般にはあまり知られておりませんが、安全性は十分に確かめられています。
工業的にも頻繁に放射線が利用されています。非破壊検査といって、橋の橋脚やタンカーの溶接個所な
どの写真を撮って不具合の有無を調べる検査がありますが、これも放射線が用いられます。土木工事の前に、地下の状態を調べることにも放射線が使われることがあります。ティッシュペーパーが均一な厚さでできていることは、考えてみると不思議ですが、放射線を利用した厚さ計でコントロールされているからです。
変わったところでは、放射線の利用で歴史の教科書が書き換えられたことがあります。弥生時代初期の土器に付いていた炭を放射線で調べると、米だと言うことが分かったのです。これで稲作の開始が500 年遡ることになりました。
その2:続けて何度もX線検査を受けても大丈夫?
(1) 放射線の人体に対する作用には、直接作用と間接作用とがあります。
直接作用は、放射線が遺伝子(DNA)を直接傷つけることを言います。間接作用は、放射線がまず細胞中の水を分解し、有害な活性酸素を発生する事で、この活性酸素がDNA を傷つける現象を言います。医療に使われる放射線では殆どが間接作用ですが、活性酸素の発生量は僅かです。
活性酸素は人が元々たくさん持っているもので、放射線によって特別に作られるものではありません。
(2) 放射線の人体に対する影響には確定的影響と確率的影響があります。
確定的影響とは、精神発達遅延、皮膚障害、不妊など、ある放射線量以上を浴びないと発生しないものをいいます。大量の放射線によって細胞や組織が破壊されるために起こる症状です。普通のX線検査で確定的影響が出ることはなく、胸のレントゲンであれば、1 万回くらい連続して撮影すると、もしかしたら白血球の減尐くらいは起るかもしれません。しかし、その前にX線装置が壊れてしまうでしょう。
確率的影響とは、がんや遺伝的影響のように、将来起るかどうか分からないが、発生の可能性が捨てきれないものをいいます。遺伝的影響は人では確認されておらず、おそらく致死量の放射線を浴びない限り発生しないと考えられています。X線検査を受けたことで、将来の子孫に、それが原因である遺伝的悪影響は発生しません。
問題になるのは発がんです。100 ミリシーベルトから150 ミリシーベルトくらいの低線量の影響については、実は様々な意見があり、詳しくは分かっていません。国際放射線防護委員会(ICRP)という国際機関は、発がんのリスクと被ばく線量の関係は原点を通る直線になる、つまり比例する、と仮定して、日本の法律もこのICRP 勧告を元にしています。低線量なら安全と考えるよりも、尐なくてもリスクはある、と考える方が、放射線を安全に使用できるという立場です。
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