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放射線の基礎講座~第1回~
みなさんは『放射線』と聞いて何を思い浮かべますか…?🤔💭
普段の生活で馴染みのない『放射線』について分かりやすく解説します!
その1:放射線とは何ですか?
原子は、プラスの電荷を持った原子核の周りを、マイナスの電荷を持った軌道電子が回る、という構造をしています。放射線とは、この原子を電離(プラスの電荷のイオンと、マイナスの電荷の電子に分離)(図1)する能力を持つ、「早く飛んでいる小さな粒子や、波長の短い見えない光(電磁波)」のことを言います。粒子の中には、アルファ線、ベータ線、中性子などがあり、見えない光にはガンマ線とエックス線があります。
アルファ線は、プラスの電荷を持った2個の陽子と、電荷を持たない2個の中性子から出来ています。ベータ線は、早く飛んでいる電子です。電子にはプラスの電荷を持ったものと、マイナスの電荷を持ったものがありす。ガンマ線とエックス線とは、どちらも電磁波ですが、ガンマ線は、原子核から出てくる一定のエネルギーのものを言い、それに対してエックス線は、原子核の外で発生するものを言います。エックス線は、様々なエネルギー成分からなり、発見者の名前にちなんで、レントゲンとも呼ばれます。虹の帯の赤の外側に見えない赤外線があり、紫の内側に、紫外線、さらにガンマ線があります。
その2:放射線と放射能は同じなのですか?
放射能とは1秒間に壊変する放射性元素の数を言います。
「壊変」とは、不安定で、放射線を出して別の核種に変わることを言い、放射能の単位は1秒間に1個壊変すれば、1ベクレル(Bq)であると言います。また、原子番号(陽子の数)が同じでも、陽子(p)と中性子(n)の数を合わせた質量数が異なる元素は何千種類もあり、このように区別される元素を「核種」と呼びます。
分かりやすく言えば、放射能とは「放射線を出す能力」と説明することができます。また、放射能と放射線の関係はカゴの中のホタルに例えられます。放射線をホタルの光とすると、放射性物質はホタル、放射能はホタルが光を出す能力となります。カゴの中のホタルの光が外に漏れると、放射線が漏れた、ホタルがカゴから逃げると、放射性物質が漏れたということになります。ですので、「放射能が漏れる」という言い方は正しくありません。
その3:ニュースなどでは放射能の単位にシーベルトという単位も使われています。シーベルトとは何ですか?
放射線の量はグレイ(Gy)という単位で表します。1 グレイとは,1 kg の物質が1 ジュール(J)のエネルギーを吸収したときの放射線の量を表します。
このグレイという単位で人への影響についても評価できれば簡単なのですが、単純にはいきません。放射線を浴びることを「被ばく」するといいますが、同じ放射線量を被ばくした場合でも放射線の種類によって効果が異なります。中性子やアルファ線の場合にはエックス線やガンマ線に比べて最大20 倍も効果が大きくなります。また、人体のどの臓器や組織が被ばくしたかによっても効果が異なります。そこで、グレイという単位に放射線の種類や組織の種類で重みづけをした被ばくの単位が必要になります。それが、シーベルト(Sv)という単位で、発がんなど、人への影響の度合いを表す被ばくの単位だと理解してください。1/1000 Sv = 1 mSv、1/1000000 Sv = 1 マイクロSv(μSv)です。
その4 放射線によって人体に与える影響の度合いが違うのはどうしてですか?
放射線によって人体に与える影響が異なるのは、放射線には物質を透過する透過力に違いがあるためなのです。
図2に表すようにアルファ線は紙1 枚で止まります。ベータ線はアルミの板で止まります。ガンマ線やエックス線は厚い鉄板や鉛板でないと止まりません。中性子線は厄介で、様々な物質の中を通り過ぎていきます。中性子を止めるには水が最も有効です。
身の回りには、実はたくさんの放射線があります。
また、放射線は様々な分野で活躍しています。被ばくするとどうなるのか
医療での放射線の利用は安心できるのかどうか、次回からはそうしたことをお話したいと思います👀✨
長野病院
放射線科より